今日の一枚 モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ短調 K.364

 ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団 
b0041520_22365558.jpg

空気が柔らかに緩んで来た。
それに敏感に反応するように小鳥の囀りが心地よく良く聴こえはじめた。
春の到来か…。
大地の気が廻り始めると聴きたくなるがモーツァルトだ。
そんな中、今夢中になっているのが
この「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」。

一日に何度聴いても飽きないどころか、何度聴いても新しい。
何とも言えない幸福感と生きる悲しみに溢れている。




ヴァイオリンとヴィオラ。
この同形異種の楽器による協奏曲という発想が素晴らしい!
様々な協奏曲がある中で、この2台の楽器による協奏交響曲は白眉だ。

第一楽章。
まるで2匹のアゲハチョウがお花畑を戯れ合いながら
飛び回る情景が思い浮かぶ。
しかし楽章の終わりに暗い余韻を残して次の二楽章に続く。

第二楽章に入ると曲想は一転して憂いに満ちたものとなる。
悲しげなメロディーを奏で始めるヴァイオリンに寄り添いながら
何とか労り励まそうとうするヴィオラの旋律がまた美しい。

若く溌剌としたヴァイオリンに対して
ヴィオラは年長者ような落ち着きがある。
モーツァルトと父との「会話」とみる聴き方もあるようだけど、
ここは自問自答という解釈もいい。
若き作曲者の悩める姿がそこにあると。

特にヴァイオリンとヴィオラによるカデンツァは聴き所。
2台の楽器の息のあったアンサンブルにトロけそうになる。。。。


最終楽章は一転。
ヴィオラの心暖かい慰めですっかり元気を取り戻した二人(匹?)は
再び、生の歓びに溢れてお花畑を乱舞!!
ハッピーエンドと言ってしまえばそれまでだけど、
幸せも苦しみも表裏一体。
悲しみを覆い隠すように今ある生を甘受しようということか?

ふと、ひとつの物語を想起させてくれた。
それは息子らに読み聴かせる度に涙で声がつまってしまい
恥ずかしい思いをする絵本「くろいうさぎとしろいうさぎ」だ。

この曲は二匹のうさぎの物語にぴったり重なり合うではないか?!
b0041520_2238923.jpg

物語の情景を重ねながら、
耳を傾けるとまた涙腺が緩んでしまうんだな。。。。

最近すぐ泣く。
by kaikaisei | 2010-03-05 22:46 | 聴く
<< 3月 某日 玉虫の厨子 3月 某日 大皿の続き。。。 >>