同じ町内に工房をもって仕事してこられた
ガラス作家の新谷良造さんが亡くなった。享年72才。
九州大牟田出身の新谷さんは、もともと大阪そして津山のガラス工場で
実験器具などを作って来た吹きガラス職人だった。
しかし倉敷ガラスの小谷真三さんと出会って民芸ガラスの世界に入り
長年その職人として民芸の仕事をして来られたが
「新谷良造」として個展を始めたのはやっとこの10年ほどだった。
一年程前にノドの異常を感じ、診察の結果ガンを宣告された。
去年静養のために仕事を辞めて、静岡の息子さんの家に移ることになり
七月の末には津山在住の作家仲間で送別の会をしたのが最後になってしまった。
少し痩せられたと思ったが,いつもの淡々とした話し振りは相変わらずで、
また元気になってガラスを吹きに戻ってくるよと言っていた。
スナックで聞かせてもらった得意のカラオケもシンミリ心に沁みた。
アレから一年足らずで亡くなってしまうなんて…。
新谷さんとの
一番の思い出は、何年か前に同じ町内の漆芸家の人と
公民館で三人展が出来たことだ。
大先輩の新谷さんと一緒に作品を並べてもらえることさえ光栄なのに
「福西さんは大したもんやわ〜」としきり褒めてもらい恐縮した覚えがある。
民芸の作家として、自分のサインの入った作品は生涯ひとつも作らなかった。
職人魂を貫いた人だった。
かっこよかったなあ…新谷さん。
今晩はウチにある新谷さんの作品達を眺め
新谷さんの盃に酒を注いで、
冥福を祈ろうと思う。
宮路おさむが好きだと仰っていた
(シブイ〜!)