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さくらももこ「ひとりずもう」

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瀬戸内市立美術館で開催中「さくらももこの世界展」のグッズコーナーで見つけてきた。
奈義町現代美術館の学芸員 遠山さんが以前私のラジオ番組に出演してもらったおりに、熱く語ってくれた一冊だ。
遠山さんは読み返す度に号泣しながら読むとおっしってた。
大の大人がそれも50代を迎えたオヤジが読んで面白いのか?と半信半疑で手にとってみたのだが …… 泣いた。オヤジも泣いた。

小5のちびまる子のその後の物語。思春期を迎え、将来に悩みながらもついに漫画家「さくらももこ」としてデヴューするまでの自叙漫画作品。

いつまでも子供ままでいたい。
大人になることの不安と憧れ。
揺れるももこの心情がとても素直に描かれている。
その姿の愛おしいこといったらない。
コンプレックスと周囲との違和感。
忘れかけた遠い私の記憶や我が子の姿に重なって瞼の奥が、クゥ〜ンとしてついに、涙が溢れてきたぞ〜。

漫画家になりたいという夢の実現に向かうももちゃんといつしか気持ちが一体化して、ついにラストシーンへ!あゝなんちゅうカタルシスだろう。

今、大人になりかけの子供達と子供に戻りたい大人達に薦めたい作品。
素晴らしい本を教えてくれた遠山さんに感謝だ。









by kaikaisei | 2016-01-21 13:49 | 読む

小山宙哉「宇宙兄弟」

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以前から妙なタイトルが気になっていたコミックだった。
美容室のお客さんが十七巻まとめて貸してくれ、家族で夢中になって読んだ。
家族夫々思いを込めてページを繰った。

私は、かつて男の子は宇宙飛行士に憧れていた時代があったことを思い出させてくれた。
小学二年生の時、アポロ11号が月に着陸し、万博のアメリカ館に月の石を見るために行列した。
あのころボクらの夢は遥か宇宙に向かっていた。
それが何時の間にか地を這うような些少な夢にすり替わっていた。
閉塞感の満ちたこの時代、三次元蟻が必要なのだ!(原作を読めばわかる…(笑))
出来る弟を持ってしまった兄の複雑な心模様もウチの兄弟の将来の姿に重なって見えて来る。

映画化作品も観た。
巧みに伏線を引かれた原作を2時間程におさめるのは、至難の技と案じていたら案の定であった。
それでも小栗旬君は大変な熱演で好感持てた。
原作を読んでなければ充分楽しめたろう(苦笑)
今は日曜朝のアニメがおすすめだ。
by kaikaisei | 2012-07-23 22:21 | 読む

「いねむり先生」と「哲也」

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伊集院静の「いねむり先生」を読んでいたら、傍らに漫画「哲也」が山積みになっていた。
長男が麻雀好きの従兄弟から借りて来たらしい。
麻雀漫画といえば、あまり品良くない青年漫画を連想させられて、
ちょっと中学生や小学生にはマズイんじゃない?と保護者としては眉をひそめるわけだが…。

しかし「哲也」とはもしかして、阿佐田哲也?
良く見ると少年マガジン連載とある。
そして一読して、その面白さにハマってしまった。
色川武大こと阿佐田哲也を主人公を戦中の混乱期から描くなかなか骨のある内容。
「麻雀放浪記」をはじめとした著作を元にした物語のようだが、
なるほど劇画的な過剰な表現もありだ。

「雀鬼と呼ばれた男」という副題が付けられるだけあって様々なテクニックを駆使して
玄人(ばいにん)と呼ばれる熟練の麻雀師達に次々に挑んでいくストーリィ。
麻雀のルールはよく分からないがついつい引き込まれてしまう。

そして行き着いた境地が「いねむり先生」ということになる(笑)ナルコレプシー。
「雀聖」と呼ばれ、その果てがのこの境地。
こちらは妻を失って自暴自棄になっていた「ボク」が先生と出会うことで生きる方向を
徐々に見つけていく再生の物語である。

子供らは「哲也」。私は「いねむり先生」。
どちらも同じ阿佐田哲也の青年期と晩年を扱った物語だが、
読み解く内容は随分違う(苦笑)

しかし親子で麻雀というゲームに興味が出て来たことには間違いない。
by kaikaisei | 2012-03-19 22:43 | 読む

アメリカ先住民

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アメリカで最も貧しい人種というアメリカ先住民の社会では、
失業率は80%を越えアルコール依存や肥満が蔓延しているにも関わらず
一人の孤独死もなければ孤児もいない。

また厳寒の居留地は冬は−30℃にもなるというのに、ひとりの凍死者も出ないという。
老人は大切にされ、心身障害者の差別も無い。
彼らの知恵と思想から今の日本人は学ぶことが沢山あるのではないだろうか?

かつてのヒッピームーブメントから今のエコロジーや反核運動にいたるまで
安易に担ぎだされるのもやむを得ない気もするが…
アメリカ先住民が特殊な民族ではないということを忘れてならないと思う。
何十万年の太古の歴史をとおして育んで来た人類共通の精神的遺産であるといこと。
それは例えば日本のアイヌ民族や古事記の世界観とも結びつくものだからだ。

またその迫害の歴史を透して見えてくるのはアメリカ人の精神構造だ。
フロンティア精神とともに美しく語られる「アメリカンドリーム」も
元を正せば他民族を征服して搾取ところから始まったということ。

その思潮が今までの世界情勢を衝き動かして来たとも言える。
しかし圧倒的な流れも曲がり角にどころか大きな壁にぶち当たっている今。
インディアンの言葉が深く胸に刺さる。

「私たちの未来は過去にある。」

「日々くりかえす行いこそが生活であり、文化を伝えることである。」

「一日一日を行きていくことが生きる目的である」
               (デニス・バンクスの言葉)

去年、ラジオ講座で阿部朱里さんの「アメリカ先住民から学ぶ」を聴いてから
アメリカンインディアンについて俄然興味が出て来た。
阿部先生の熱い語り口の魅力も大きかったのであるが(笑)

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「インディアン」という言葉が差別語ではないということも初めて知った。
侵略者である白人から付けられた蔑称をあえて受け入れ、
誇りを持つことで自分たちのアイデンティティと地位を勝ち取ろうということらしい。
差別用語や問題発言で言葉狩りに忙しい人々はどう思うか?
by kaikaisei | 2012-02-07 12:33 | 読む

ナニカアル

桐野夏生 「ナニカアル」
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ラヂオで放送されていた林芙美子の「浮雲」の朗読が中途半端なところで終わってしまい残念に思っていた。そんな時に桐野夏生の小説を手にとってみたら、なんとそれは林芙美子が主人公であった。こんな偶然があるものなのだ。

それも「浮雲」の端緒となる大東亜戦争下に南方に従軍記者として「徴用」されたおりの物語だ。

桐野夏生は、いつも時代を漂流する女性達を描いているように思う。
とすれば作者が放浪者、林芙美子に強く惹かれるのも頷ける。

いくつかの収穫。
北の満州と同様に南の「南方」ジャワ、スマトラには日本人が仮設した楽園があったということ。

戦意高揚に戦時中の朝日と毎日の二大紙の購買競争があった。
軍部はそれを利用して植民地政策の宣伝材としていったこと。

そして見えない「民意」や「世論」に利用され翻弄される記者や作家達。
これも過去の話として片付けられない問題だろう。

林芙美子というと文学史の中の人だったが、
「浮雲」にしても桐野の小説にしても「愛着」を求める女の姿があった。

惹かれ始めているのは私の男の性か?これは…。
by kaikaisei | 2011-04-02 00:29 | 読む

森達也 著「きみが選んだ死刑のスイッチ」

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裁判員制度や死刑制度について 
いまの子供達はどれ位のことを知っているのだろうか。
中高生向けの本にしては刺激的なタイトルが引っかかって
親子で読んでみた。

ただ単に啓蒙説明するような内容ではなく、
問題点や意義について教えられることが多かった。
裁判員制度については漠然とながら賛同はしていたが
この本を読んでいくつもの矛盾や綻びがあることを知ることが出来た。
そしてその先にある「死刑」制度の意味するものも考えなければならない。

子供向けの本だからといって甘い書き方をしていない著者のスタンスがいい。
そして最後まで読んで表紙のイラストの意味が判った。

日本では絞首刑が執行される際、
5人の執行人が同時にそれぞれ一つのスイッチを押す。
どれかひとつが足下の床が開くスイッチになっている。
執行人の精神的負担を軽減する為の配慮らしい。

私たちが裁判員制度を受け入れるということは、
このスイッチの一つを押すことに間接的とはいえ関わることになる。
そして次世代の子供達にスイッチを押す責任を譲り渡すならば
出来るだけ正しい制度の意義を伝えなければならない。

人が人を裁くとはどういうことか?
結局最後はこの問いに突き当たる。
by kaikaisei | 2010-04-23 22:21 | 読む

村上春樹 「めくらやなぎと眠る女」

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米国向けの自選短編集の日本語版第二集。

熱心なハルキファンではないけれど、
気になる作家として、いつも読んでいる。

どれも不可解不条理な物語ばかり。
登った梯子を外すような物語の終わり方だったり。
でも不思議と説得力があるのはこの人の文章の上手さだろう。

とても個人的な物語ながら、徐々に崩壊に向って行く人類の不安感が漂う。
時間をおいて読み直したらまた印象が変わって来るはずだ。

そして超ベストセラー作家でありながら、
何故かパーソナルな嗜好をくすぐるところがある。

たとえば登場する主人公の多くが
古いジャズのレコードを集めるのが趣味だったりする。
by kaikaisei | 2010-03-24 22:10 | 読む

福岡伸一 著「生物と無生物のあいだ」

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以前から気になっていた本。
ようやく読めた。

内容もさることながら、
詩的な文章に魅了された。
学生時代の理科教科書がこんなだったら、
私も自然科学がもっと好きになったに違いない。
by kaikaisei | 2010-01-21 21:22 | 読む

千松信也著「ぼくは猟師になった」

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今は亡き叔父からよくイノシシの肉を貰ったものだ。
普段食べ慣れた食肉とは一味違って野生の歯ごたえがあった。
しかし正直美味しいとは思えなかった。

何故か?
狩猟と言う行為が無益な殺生だという思い込みがあったからだ。
お金を払えば、ちゃんとパック詰めされた精肉が
スーパーで買えるじゃないか!

この本を読んでそれが大きな間違いであることに気がつかされた。

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by kaikaisei | 2010-01-13 12:55 | 読む

山田芳裕「へうげもの」九巻

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前巻の燻し銀色の装丁に続いて
利休の「黒」に合わせて今回は漆黒の最新刊。

利休の切腹場面は、お茶人が見たら腰を抜かすんじゃないかな!
凄まじくも愛に満ちあふれ感動的だった。
信長暗殺も凄かったけれどね。。。

今回も度肝を抜く超広角レンズ使用、ローアングルのカットが目を見張り、
物語抜きに絵だけでも楽しめる。

朝鮮使節に煎茶の点前をする古織も見逃せなかったぞ。
次巻がまた楽しみだ。。。
by kaikaisei | 2009-09-29 22:21 | 読む