カテゴリ:映画( 5 )

おくりびと

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ナンチャラ賞受賞!と謳い文句があっても愚作はあるわけで
賞なんてなくても胸を打つ映画はいくらでもある。

特に最近の米アカデミー賞なんて当てにならない。
この前観た「スラムドック$ミリオネア」も期待が大き過ぎたのか、
ちょっと肩すかしされてしまった映画だった。

「おくりびと」のDVD。
主演して企画者である本木雅弘はインドを旅して、この映画の発案に至ったという。
この間観たスラムドック…」はインドを舞台にした英国人監督の映画。
同じ年のアカデミー賞でインドを起点として製作された映画が東のイギリス、西の日本から同時にアカデミー賞受賞作になった訳だ。部門は違うが。。。それぞれの文化や生死観の違いが表れていて興味深い。 
一方が波瀾万丈の息を飲むようなストーリィ展開なら、かたやいかにも日本的に様式された静謐な物語。

青木新門著「納棺夫日記」とともにこの映画の基調となっている藤原新也著の「メメントモリ」も再読したい作品だ。

DVDのパッケージも初回限定で紙箱入りだが、ノミネートや受賞のステッカーや「腰巻き」を外したシンプルな外箱は
まるで白木の棺のよう。。。桜の花弁が散らされていている。
余計な肩書きはかえって邪魔になる。。。と思った。
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by kaikaisei | 2009-06-07 21:33 | 映画

「人生は祭りだ。さあ一緒に踊ろう」

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個展会場が午後からの営業ということで、
近くの映画館「イメージフォーラム」で懐かしい映画を観られた。
フェリーニの「8 1/2 (はっかにぶんのいち)(1963年/伊)」だ。
私が好きな映画を挙げるとすると欠かせない一本がこの作品だろう。

知らなかったが、上映権の関係で25年振りのスクリーン上演が実現したらしい。
そうか。。。かつて私が初めて劇場で観てから25年経つのか?!
果たしてかつて二十歳そこそこで観たあの映画を四十代半ばを過ぎてどう観るか?

スランプ状態に陥って八方塞がりの主人公の映画監督グイドに
ついつい自分自身を投影したくなる。
43歳という設定は私より年下になっているが(苦笑)

完全修復ニュープリント版ということでモノトーンの諧調も柔らかく美しい!
フェリーニは映像の魔術師振りを思う存分発揮して
良くいえば天衣無縫。悪くいえば難解(笑)
混乱、混沌とした展開であるから途中意識が遠のくことシバシバ(苦笑)

ところが有名な最後のラストシーンになって、
訳も無く涙が溢れてきた(涙腺がユルイなあ。。。)
25年前は気が付かなかったが、マストロヤンニが演じる主人公の独白は
なんと!東洋の禅の悟りや老荘思想のようなに深い言葉でないか。

人生の儚さ空しさを噛みしめつつ幸せな気分にさせてくれる傑作だ。
25年前の感動とは、また違って深く心に響いてくるものがあった。

荒唐無稽なシナリオと即興的な演出でうまれた奇跡のような作品。
やはりフェリーニは素晴らしい。

初DVDが欲しくなった。。。ASA フク NISI MASA ユキ!
by kaikaisei | 2008-07-17 10:00 | 映画

ニューオリンズ(1947年/アメリカ映画)

わが映画の師、K野先生宅に新年の御挨拶に伺う。
何か一本観ようということになり、DVDのコレクションの中から珍しい作品を発見。
1947年アメリカ映画「ニューオリンズ」。

ルイ・アームストロング出演のジャズ映画なんだけども、何が珍しいか?
あのビリー・ホリデイが役者として唯一出演した映画なのだ。
映像自体が珍しいので貴重な作品と言えるでしょ?
以前彼女のドキュメンタリービデオでチラリと映像が紹介されていたが
その役がメイドということで屈辱的な作品というニュアンスで紹介されていた。
でも死の12年前32歳頃。比較的安定していた時代のよう。
映画の内容もそんなに悪いものではなかった(寛大な私!?)
もちろんサッチモはスバラシイし、とにかく正月早々動いて唄っているビリー・ホリデイが
観られて眼福の一日であった。

去年は大きな災害に見舞われたニューオリンズ。ジャズとブルースの故郷の復興を祈るのみだ。

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彼女の出演は前半のみ。
でも最後はチャンとメイド服を脱いで唄うんだから良しとしましょう!
by kaikaisei | 2006-01-09 22:59 | 映画

市民ケーン(1941年/アメリカ映画)

K野先生の映画講座最後の作品は「市民ケーン」だった。
私は恥ずかしいことにまだこの映画を観た事がなかったからとてもうれしかった。
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あのオーソン・ウエルズが製作、脚本、監督、主演した第一作の映画だ。
そして映画史上のベストワン作品としてハリウッドの批評家には評価されているという。
なるほど、映画を娯楽として楽しみたい人には退屈かもしれないけれど
映画作家にとってはまさに教科書として影響を受けない人は居ないだろう。
映画の持っている全ての手法を使い尽くしてあるなあと感じた。
カメラワークが物凄く斬新。初めてパンフォーカスを駆使した作品というけれど
カメラアングルも立っている人物の膝の辺り、床に穴を開けて撮ったに違いないようなアングルなど。
小津だけじゃなかったんだねえ! とにかく面白い。もうストーリィは後回し!(笑)
この映画を作ったとき彼は若干25才だったというのだから、
O・ウェルズって人がいかに並々ならぬ才能の持ち主だったか!

ラジオドラマ「宇宙戦争」で全米を恐怖のどん底に落としいてしまったウェルズの才能に
目をつけた制作会社が「もう好きに作っていいよ!」って作った映画だから。
もうウェルズがもうやりたい放題持っている才能全てを注いで作ったんだねえ。
なるほど。もう凝りに凝った映画だ。

そしてウェルズがいかに一筋縄でいかなかった人物であるかも良く解る。
この映画にしてもO・ウェルズについてもその逸話だけでも興味が尽きない。
とにかく賛否両論ある映画だけれど。見る度に新しい発見があるだろう!
こんな映画を作ってしまったから、その後のO・ウェルズの映画人生も波瀾万丈になるわけだ。

果たして、昨今の映画で60年後に観ても新鮮に発見のある映画ってあるのだろうか?
このへん。私のかかわる工芸の仕事についても同じような事が言える。

私達にとって「バラの蕾」とは何か?
って考えたら天国のO・ウェルズはフフフって笑っているだろうに…。
by kaikaisei | 2005-09-29 21:00 | 映画

ブラス!(1996年/イギリス映画)

「スゥイングガールズ」が観たいんだけど、レンタルショップでは、まだ新作料金で高い。
ここは無理せず(苦笑)かねてより気になっていたこの作品を借りて来た。

物語は…。
イギリスの小さな炭坑町が舞台。そこの鉱夫達がつくるブラスバンドは歴史ある名門バンドだが、
ついに炭鉱の廃鉱が決まり、坑夫全員が解雇の憂き目に晒されようとしている。
楽員達もとうぜん浮き足立って音楽どころではない。
バンドリーダーは孤軍奮闘そんな楽団員を何とかその気にさせて
夢のロンドンはロイヤルアルバートホール(日本でいう日本武道館か!)で行われる
全英ブラスバンド選手権大会を目指すというお話。
キャピキャピした女子高生もいいけど、こちらのオヤジ達の奮闘ぶりもなかなか泣かせるのだ。

かつて基幹産業だった炭鉱も今では見捨てられつつある。元気のない炭鉱町の人々。
解雇反対運動の看板を振る坑夫の女房達。
そんな情景と一緒に流れるブラスバンドの音楽の何と溌剌として美しい調べか…。

リーダーはいう「仕事と音楽どっちが大切かって?音楽に決まっているじゃないか!」
こんなことが迷いなく言えるんだからスゴイ。
苦しく不安な生活を送る彼らだが、いざ楽器を携えて舞台にあがるとその表情は誇り輝き、
その演奏は実に美しいのだ。

「家庭よりもバンドの練習が大切なの?」先日の奥さんに言われた。
私も彼らの心情が良く解るぞ!!

出演のユアン・マクレガーも初々しくて良いし、
新入部員の娘のタラ・フィッツジェラルドもいいけれど
バンドリーダー役を演じるピーター・ポスルスウェイトを
はじめとするオヤジ達そして女房たちがいい味を醸し出している。

そしてフリューゲルフォーンをはじめとするブラス楽器も素敵な音色で
やっぱり金管楽器には花があるなあと感じた次第。

ストーリィもさることながらその音色が聞きたくて一週間に3回観てしまった(笑)
by kaikaisei | 2005-09-21 22:41 | 映画