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7月 某日 「主戦場」

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制作監督編集は日系アメリカ人のミキ・デザキ。左右に偏りのあるメディアによらず中立的立場から慰安婦問題を論点化、左右論陣のインタビューを根気よく再構成していく。


そこから現れてくるのは、右派、ナショナリスト達の論理の綻びや民族への偏見差別だ。

戦時徴用工の問題が韓国への輸出規制の発端になっているのなら、さらに遡ると慰安婦問題からボタンの掛け違いは始まっている。日韓関係が新しい局面に入っている今、見ておくべき映画になった。


感情的に罵り合い相手を非難しつづけても何も解決しないばかりか、お互いを疲弊させるのみ。
冷徹ともいえるこの映画の製作者の視点を忘れてはいけない。

そして映画の最後に映像とともに語られるメッセージに思わずヒザが震えた。
選挙の前に観ておいて良かった。


表現手法もユーチューバーならでは。

テンポも良くスタイリッシュ。

エンターテイメントとしても魅せるものがあった。

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by kaikaisei | 2019-07-20 19:56 | 観る

イワン雷帝

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突然、タルコフスキーの映画が観たくなった。
久しぶりにレンタル屋に行ってみたが一枚のDVDも見つからなかった。
店内は大量のTVドラマシリーズやゴミのようなDVDに席巻されており、
タルコフスキーのような難解な映画を観るひとはいないんだね。

代わりにエイゼンシュタインの「イワン雷帝」があったので借りて帰ったが、これが結構あたりであった。
一部二部合わせて3時間を越える大作だ。
今頃のハリウッド映画を見慣れた今のひとには冗長な内容に退屈するだろう。
しかし時間を気にしない悠長な演出に身を任せるというのも古典映画の醍醐味だ。
そういう意味ではタルコフスキーと共通するものがあるなあ。

もちろんエイゼンシュタインの斬新な演出や主演のニコライ・チェルカーソフの熱演(怪演?)が見所だ。
また当時のスターリン体制にかかわるエピソードも満載で未完で終わるこの作品の運命も
政治と映画の深い関わりを教えてくれる。

しかし俄に緊迫してきたウクライナ情勢と重ねると興味深い発見がある。
プーチン大統領は一部では「プーチン大帝」と揶揄されているらしいが、
彼はイワン雷帝になりたがっているのだな…ということだ。
今のロシアの覇権主義は前世紀のスターリン体制と変わらないと非難されておるが、
さらにその根拠は16世紀までさかのぼる。西は沿岸諸都市をヨーロッパから奪還して、東はタタール人を撃退しなければ大国ロシアは滅亡するという危機意識が既にその頃から根強くあった。

その前時代的な歴史認識に呆れてしまうところはあるが、
それだけ国家や民族は過去の歴史に縛られているということだろう。

しかし他所の国のこととして非難は出来ない。
日本だって、イワン雷帝と同時代の信長、秀吉、家康が大好きで小説やドラマに英雄物語を量産している。
またオリンピックをやる国は必ずナショナリズムが高まるのも最近の傾向のようだ。

写真は持っていたプロコフィエフの組曲「イワン雷帝」のレコードジャケットに
ウクライナ製のコンタックス「キエフ」をのせてみると、バッチリ決まった。
by kaikaisei | 2014-04-16 13:26 | 観る